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江戸時代から猫は「ねこさま」だった だいぶ前に猫ブームは来ていたというはなし

 今の猫ブーム。テレビを見ても、電車の中づり広告を見ても、探せばどこにでも猫を見つけることができる時代。本やメディアの力が非常に強い現代の時流に乗り、あっという間に猫は不動の地位を築いたわけです。

でも猫が流行になったのは、今に限った話ではありません。

実は江戸時代から、すでに猫は市民の間でブームを起こしていました。

つまり今は第2次か第3次猫ブーム。

では江戸時代の猫ブームがどんなものだったのか見てみましょう。

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出典 歌川国芳 

 

養蚕業が猫ブームを後押し

今のように猫がありふれた存在ではなく、非常に数が少なかった時代。

実は私たちがよく知る「招き猫」が出てきたのもちょうどこの年代です。

当時勃興していた養蚕業。蚕(かいこ)を使って糸を生産する工場が各地にありました。しかし問題だったのは、ネズミの存在。

ネズミが蚕を捕食し、また工場内の部品をかじってしまい台無しにする。ネズミ被害が工場を倒産まで追い込むほど問題視されていたのです。

 

そこで登場したのが猫でした。

猫は期待通りの働きをしてくれました。猫導入の効果もあって養蚕業の経営状態も安定。たくさんの儲けが猫によって生み出されました。

一躍、猫は養蚕業のスター的存在になります。

 

招き猫ブーム

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 養蚕業の救世主になった猫、ここで猫は養蚕業の「福の神」になります。

猫がいることによって自分の工場も儲かる。そう考えた人がたくさんいたのでしょう。

そしていつしかそれはすさまじいブームを巻き起こしていき、猫は養蚕業界だけではなく、商売繁盛の象徴のように考えられるようになりました。

養蚕業以外の経営者も猫の持つ「福をもたらす効果」に目を付けたわけです。

 

江戸時代の絵師 歌川国芳 猫ブームを広める

 猫は福をもたらしてくれる神様として考えられるようになりました。

そして、この猫ブームを各地に出版物で紹介し広めたのが、歌川国芳という人物でした。彼自身も猫好きだったようで、自宅には10匹以上の猫を飼っていたようです。

当時の出版業界は、今のリクルート社が作るようなR25じゃらんのようなメディアとしての力を持っていました。

そしてこのメディアの力も加担し、経営者の間だけではなく日本各地の市民の間に「猫は福の神」という考え方が拡散されていきました。

ちょうど今のFacebookTwitterのような役割も果たしていたのですね。

 

 まるでアプリ「ねこあつめ」のような歌川国芳の作画 

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出典 歌川国芳

 

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 出典 Google Play  ねこあつめ 猫図鑑

 

上の二つ、猫の種類をまとめたものですが、どこか面影を感じます。

こうして、歌川国芳は絵師として「猫ブーム」の立役者になりました。

 

江戸の世に拡散されていく猫ブーム

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出典 歌川国芳

 

こうした二つの媒体、「絵師」「経営者」。

彼らの盛り立で、江戸の世に猫は「幸福を呼ぶ神様」として広まっていきました。

つまり、ブームは今に限ったことではなくすでに200年以上前に到来していたのですね。

時代を超えて私たちを魅了する猫という存在。

その丸っこい姿や哀愁を漂わせる後姿、彼らの姿かたち。

いつの時代もやはり可愛いものは可愛かったわけですね